【17日目】マージソート
工場にて...
この工場では、アナログゲームとして名高い『トランプ』の生産をしている。社長のこだわりによりここではほとんどが手作業で行われている。
社長曰く、
「アナログゲームを作ろーってやつらが機械頼りなんて許せるかー」
とのことである。そのため従業員には苦労が絶えない。これはそんな日常である。
「トランプ制作部門のやつら、もっとうまくやれんもんかよ」
「そうっすよね、結局しわ寄せは全部うちにくるんすからね」
「また、デスマーチ確定やな、やってらんれんわ」
「おい、お前らもっとプライド持って仕事しろよ。俺らの仕事ら子供達の笑顔を守ってんのやぞ」
「それ、いつも言ってますけど、ほんとですか?自分たちトランプ並べ替え部門ですよ。子供達、すぐシャッフルしますやん」
「うぐっ、うるせー始業時間や始めるぞ」
「「うぃーす」」
「えっーとこれを先頭にして...」
「なんやお前1番小さい数探してを繰り返す方法でやってんのかい?たっはーほんま学生あがりはあかんで」
「(イラッ)そういう先輩はどんな方法でやってるんすか?」
「昔はなー技術は見て盗むもんやったんやけど近頃の若もんはあかんわ、まあしゃーなしやぞ。」
「お願いします」
「こうやってな左手に一枚持ってな右手の1番左のカードを左手のカードと比較して入れてくとな...」
「あー挿入ソートですか、学校で習いました」
「(挿入ソ?)なに言ってんねん、これはわしが20年考え続けて見つけた方法やぞ」
「(あー車輪の再発明タイプの人や)へぇー」
「たく、まあこれで今までより早くできるやろ、さっさと仕事せいや」
「はぁーい、あれ今日入ってきた新人休憩してますよ、サボりですかね」
「なんやと、俺が注意してきたる。」
「おい、お前何サボってんねん、最初からそんなんやと将来こまんぞ」
「えっ、あっ仕事ですか、もう終わりました。皆さんと同じノルマは先程納品しました」
「何言ってんねんそんなことあるか、見せてみろって」
「あっはい」
「うそやん、完璧やん、どうやったんや?」
「えっと、まず全部一枚ずつ並べます。今回は52枚を1枚ずつです。で、隣同士を比較するでしょ?そしたら一枚ずつだったカードが比較されたカードの1組の組み合わせになります」
「えっと、3,5,4,9,7,8やとして、3と5を比較して3,5の組として、おんなじように4,9、7,8か。ほんでほんで?」
「そうしたらその組同士で小さいカードを出していきます。」
「3,5と4,9やから3のほうが小さいから3やろ、次は5と4やと4やな。繰り返したら3,4,5,9かなるほどな」
「それを全部にします」
「3,4,5,9と7,8かそれなら一緒のようにすると3,4,5,7,8,9か。簡単やな」
「ってやってくと仕事は終わりますよ」
「うわーほんと早いっすね、先輩のより早いんじゃないっすか」
「うるせーお前はあっち行ってろ」
「ちぇっ」
〜行ってから〜
「いやー流石ですわ、学生さんはやっぱ違いますわー、今度なんか奢りますよ」
「いやーありがとうございます」
「(先輩、プライドないのかなあー)」